◆◆◆ 死んでも…楽にはなれないのですか!? ◆◆◆
1現在の貴方は、死んでしまえば意識がなくなって、そこで人生に終止符が打たれ、すべてが消滅して苦痛から解放されると思っていますね。 これが自殺する人の盲信なのでしょう。
…でも、そのように都合よくいきません。…真実はまったく違います。
2皆さんは、物質界での常識に浸漬されて生きていますが、死の瞬間からこれまでの常識が通用しない世界に生きなければなりません。死を選択したことによって、確かに生の世界の意識に終止符が打たれますが、今度は死の世界の意識が表に現れてくるのです。
3人間は四重の構成体から成り立っていますが、肉体が死滅することによって、残りの3つの構成体が肉体から離れてしまうのです。
4天命を迎えずに死を選択すると、人間の4つの構成体は、準備がなされないまま、引き裂かれるために非常な苦しみを味わいます。特に自殺者の場合は肉体に生命力を与えていたエーテル体(生命体)が傷つき、突然、体がえぐられるような衝撃に襲われます。
5通常、死を迎える人間は、高次の領域において準備がなされるため、肉体と他の構成体は結びつきが緩慢になっています。しかし、自殺者はそうではなく、人生への深い失望感は、裏返せば地上生活への強い執着心(思考対象の全てが現生活に埋没している)の現われでもあるのです。
6自殺者の肉体とエーテル体は強固に結びついているにも係わらず、それが突然に分離させられることになり、肉体を失う喪失感は激しい苦痛に転化します。肉体を失った死者の構成体(魂体)は、意識が何倍も鋭敏になっているのに、心に抱く欲望を全く満たすことができません。
7欲望を満たせる肉体を失ったいま、喉の渇きを癒すこともできず、空腹感を満たすこともできません。肉体的な生理現象は、死後においても当分は存続します。
◆◆◆ 死んだ後も生き続ける <魂体意識> とは…? ◆◆◆
8肉体から離脱する3つの構成体は、肉体との結びつきが心臓の部分で解かれ、頭部を通って離脱します。
9この離脱に伴って、生前の記憶が映像として魂(体)のなかを通り過ぎていきます。これは感情体験を伴わずに現れる映像で、生まれてから死ぬまでの地上生活の間にエーテル体に蓄積された記憶が、映像となって浮かび上がるものです。
10この状態は数時間から数日に渡って維持され、エーテル体とアストラル体(感受体)とが分離すると映像が消滅します。次にエーテル体とアストラル体とが分離するとき、生前、魂に昇華されずに留まった低次のエーテル実質が、第二の死体としてエーテル界(生命界)に捨てられます。
11このエーテル死体は、生前の肉体の形姿を保持しており、また生前、地上生活に執着していた死者ほど、多くのものが低次のエーテル実質として捨てられるため、残像が鮮明に残り、エーテル界に解消するには長い年月を費やします。
12生前の肉体的な生理現象も、死を自覚するにつれて、だんだん克服できるようになります。そして、自分が入ってしまった世界を観察しようという余裕が生まれてきます。
13肉体を失った現在の状態では、生前のように感覚器官を使用することはできませんが、死後、意識は格段に鋭敏になっています。こうして、生前の睡眠中に見る夢よりも鮮明なイメージが、映像として魂のまえに現れます。これはイメージ(心魂映像)によって世界を知覚する手段が芽生えたのです。
14さて、エーテル界(生命界)を離れて、アストラル界(魂界)に上昇した死者の魂は、生前営まれた生活体験の全てが、死の直前から誕生までの間を遡って魂の前に現れます。この体験は、感情的な体験です。しかも、この感情体験は全く受動的であり、生前において自分が相手に抱いた感情や、相手に与えた苦痛を自分自身の中で体験するのです。
◆◆◆ 魂は霊的体験をしながら、霊的領域を上昇する ◆◆◆
15こうして、死者はアストラル界に滞在し、魂が浄化されるまでの期間を過ごします。この期間を欲界期と称し、地上生活で身に付けた感覚的な欲望や執着心を消化します。
16この欲界期が終了すると、死者は低次元のアストラル要素、つまり生前、高次のものに昇華できずに残った動物的な衝動本能を、第三の死体としてアストラル界に残します。このアストラル死体が、アストラル界に解消されるまで、かなり長い期間を必要とし、その間アストラル界を漂います。
17死者の魂は、生前、友好関係にあった死者の魂だけでなく、嫌厭関係にあった死者の魂とも再会します。地上生活で、自分の内面に秘められていた感情的な営みは、いまは外界に露呈しています。既に欲界期において、自分が他の人々に与えた苦痛を、自らの魂のなかで体験しました。18ここから、生前の自分自身が冒した行為に対する深い反省と、償いの感情が深まっていきます。
19しかし、生前の自分の冒した行為に対する埋め合わせをしようとしても、肉体を失った死者の魂には、その願望を叶える手段は全くなく、霊的孤独のなかで激しい苦悩と絶望感に苛まれます。
20こうして死者の魂は、来世への再生に向けて、目的と課題(カルマ的要素)とを自らに課し、新しいアストラル実質を築き上げます。このように霊界での死者の魂の生活は、霊的交流と霊的孤独を交互に体験するのです。
21ところで死者の魂は、長い間、霊界に滞在します。その滞在期間は、黄道十二宮上の星座が春分点で一つ移動する期間=2,160年に相当し、その間に1回は男性として、もう1回は女性として地上に生まれてきます。その理由は、男性と女性では、知覚、思考、感情、意志の作用による魂の体験が異なり、男性の場合には魂は主に外界を把握することに向き、女性の場合には主に内面生活を発達させる性向があるからです。
◆◆◆ 宇宙の彼方で展望する「人間理想」とは…!? ◆◆◆
22下位神界で霊的生活を営んでいる死者の魂は、霊的交流と霊的孤独の期間が交互に訪れ、そして次第に霊的孤独の期間が長くなり、やがて全く過去の霊的生活に戻らない時がやって来ます。
23これが霊的生活の中間地点、霊界の真夜中と称される時なのです。死者の魂は、上位神界に上昇しています。
24この地点に至ると、高次の霊的存在たち=人間の進化に働きかける神々から、死者の魂に向かって数々の叡智が流し込まれます。
26そして、神々から流れ込んだ叡智が、死者の魂のなかで輝きます。死者の魂のまえには、神々の創造の目標=崇高な「人間理想」が聳え立っています。
27 死者の魂は、宇宙の果ての遠い時の流れのなかに、自分たち人間の理想像を展望します。
28この人間の理想像は、神々が過去から未来へと人間を宇宙の一員としていかに導いていくかの計画書であり、土星紀、太陽紀、月紀、地球紀のなかで4つの構成体を獲得した人間が、未来にどのような構成体を付け加え、どのような能力を獲得するか、そして宇宙の進化にどのような関与をするかが示されています。
◆◆◆ そして、再び地上生活へ… ◆◆◆
29しかし、死者の魂は今のままでは、これ以上は人間理想に向かって前進できない地点に立っています。それは自分自身のなかに、数多くの不完全な要素を残しており、この改造には地上生活の肉体的体験を必要とするからです。
30このとき、最大の誘惑が死者の魂を捉えます。それは「地上世界に戻らずに、このまま霊界に留まれば霊的存在として、神々とともに永遠に生きていける」という誘惑です。
31現在の人間の進化段階では、ルチフェル(光の悪霊)の強力な誘惑を退けることは困難です。そして次の瞬間、崇高な人間理想へと導く神々の手によって、霊界に留まろうとする誘惑が覆い隠されてしまいます。
32この瞬間こそ、死者の魂が、地上に再受肉する時なのです。死者の魂が来世のために準備したアストラル実質が、神々の手によって、空間界から時間界へ投げ入れられ、特定の民族のエーテル実質に引き寄せられるとともに、魂の親和性によって両親に結び付けられます。
このときが魂が地上世界に下って、肉体を纏わされる瞬間です。
高原の夜明け
◆◆◆ 人間を誘惑する悪魔たち ◆◆◆
33この民族霊(大天使)の加護がなかったなら、人間は地上世界に再生できずに、人間理想へと向かう進化の可能性を失ってしまうことでしょう。
34このことは地上生活においても、私たちが霊的なものに向かおうとするとき、ルチフェルは忍び寄ってきます。そして不完全なままで人間を霊化し、ルチフェル(デーモン)の世界に引きずり込もうとします。地上生活が無意味なものと感じさせ、霊的なものに向かうように仕向けます。
35また、地上生活に固執する唯物主義者は、物質界に人間を縛りつける進化から逸脱した霊的存在、アーリマン(闇の悪霊)に憑依された人たちです。アーリマン(サタン)は物質界が唯一のものであるという印象を与えて、霊界を認識する能力を無力にしてしまいます。
36つまり、人間には相反する作用を及ぼす霊的存在たちの誘惑、虚偽の霊的世界に引きずり込もうとするルチフェルの誘惑と、唯物的世界に沈めようとするアーリマンの誘惑とが、常に働きかけています。
◆◆◆ 再び「人間理想」を求めて… ◆◆◆
37これらの作用を及ぼす霊的存在たちは、一方で人間に独立心や自由意志、芸術、論理的な思考能力などを与えながら、他方では人間の魂に欲望や傲慢さ、唯物思想などを植えつけます。
38しかし、これらの霊的存在たちの働きかけを全く排除してしまうと、人間は霊的なものを獲得しようとする意欲や、地上生活を有意義に過ごそうとする意志を失ってしまいます。
39ですから、両者の特性のバランスを保ちながら、人間理想に向かって努力することが、現在の人間に与えられた道なのです。
40私たち人間は、宇宙地平で知覚する「人間理想」を探求しながら、人間としての使命を果たさなければならないのです。そのとき私たちの魂は、いままで閉じ込められてきた世界=地上的世界を超えて、霊的世界へと歩み入り、宇宙の中へと飛翔するのです。
41こうして、人類は宇宙空間のなかで限りなき、進化を遂げていきます。
宇宙を創造した神々とともに…。
|